僕のマンガの作業手順〜アナログ作業〜
【2006年〜2012年頃】
投稿持ち込みを頑張っていた完全アナログ時代の自分のマンガ制作方法を紹介します。
※ギャグ漫画です。
※当時の考え方ですので今はこの限りではありません。
プロット
今となっては少し間違っていると思うのでやり方が違っていたりもするのですが
当時は「描きたいボケのシーン」や
「描きたいコマ」から始まることが多かったです。
このページを描きたい!と思ってそのコマやその前後を合わせた「くだり」を描きます。
その後そのシーンの出てくるキャラやマンガのメインストーリーを考えて前後に足す感覚です。
台割
何ページにだいたいどんなボケや見せ場があるかを数字とキーワードのみで書いていきます。
このボケを描きたい!という大きな一つ以外は、たくさんメモ描きをしながら脳内で絵と流れを考えていき
最終的に、台割時に「オーディション」をしてあんまり面白くないと思うネタはボツにしていきます。
オーディションを勝ち抜いて最後まで生き残ったネタが採用されます。
そのくだりが面白くても話が全く繋がらない場合はボツにします。
ここまでは断片的な絵や文字はあっても全て脳内のみで流れを再生していきます。
この脳内再生がうまくいかないと
実際ネームにした時にコマが小さかったり、思っているページの中にそのくだりが入らなかったり、テンポが悪かったりするので
脳が爆発しそうなくらい何度も再生します。
ネーム
いい感じに脳内再生で最後まで描ききったらネームに入ります。
絵と文字は自分だけではなく他の人(編集さん)が見てもなんとか読めるように気をつけながら描きます。(後述するトレース台導入後はネームを下描き並みに描く場合があります。)
最後までとりあえず再生通りに描いてみます。
これおもろいかぁ?というのはここでは一切許されません。
そうならないためにも先ほどのプロット段階でネタやコマ割り流れを練ります。
実際コマを割って絵にして出力すると思いがけない良いことや悪いことが発生するものです。
そこからネーム直しです。
一人の場合でも、変だと思ったり、もっとよくなるんじゃないかと思えばネーム直しです。
担当さんがいて、担当さんに指摘された場合も勿論ネーム直しです。
つまりここから先に行くためには精度を上げていかないと永遠にネーム直しです。
後年自分のやっていたお店で漫画の教室をしていた経験などから思うことは、僕の見聞きしていた限りネーム直しを何かと理由をつけて避けたり嫌がる人が多いです。しかしネーム直しはよくあることです。ネームを直すことを嫌がっていては商業を目指す人は色々と厳しいと思います。直してみるということは自分の作品のためなので頑張ってみても損はないと思います。
自分の中でいい感じだ!と思えるようにネーム直しがクリアできたら(担当さんとのやりとりの場合は担当さんからOKが出たら)原稿の下描きに入ります。
下描き
まず大前提に、僕は「筆圧が激烈に強い」です。
バキバキとシャーペンの芯は折れます。
しかし「勢い」というのを大切にしていた僕は紙が凹んでもその時のノリを重視してガシガシ下描きを描いていきます。
ペン入れ
トレース台を使って下描きを参考にしつつ新たに一から描くつもりでペン入れをします。そもそも下描きの線も間違っていたり信用なりませんので、もっとよくなるように!と思いながら描きます。なぞる感覚ではやっていませんでした。
当時僕が実際に使っていた道具を紹介します。
メインの道具だけ紹介します。
つけペン
主線はzebra Gペンを使用。
長年使っています。※現在はzebra ハードGペンを使用
効果線や背景にzebra 丸ペンAタイプを使用。
時期によっては違うペンも主線に使用していました。
zebra 丸ペンEタイプ
僕の筆圧だとGペンより太くできる勢いだったので主線にしてた時があります。
日光Gペン
zebraさんのGよりも描き心地を気に入っていた時がありました。
何故か掲載デビュー作のみzebra タマペン(クローム)を使用。それ以前以降も使ったことはありません。デビュー作なのに急に使ってみた理由は不明。比較的均一な線が引けるペンです。
※タマペン=さじペンやスプーンペンと同類。zebraさんではタマペンが正式名称とのこと。各社によって呼び名が違うだけのようです。
インク
インクはパイロット証券用インクの時と
パイロット製図用インクの時がありました。
証券用インクについては特にこだわりは無く、少年Jに持ち込みに行った時に貰える原画見本帳(当時の)に尊敬するONE PIECEの尾田栄一郎先生が証券用を使っているという情報が書いてあったので真似して使っていました。
一時期以外は全て製図用インクを使用しています。←これは今でもです。
枠線には線が綺麗でインクの黒が綺麗という理由から最初だけカラス口を練習していました。しかしカラス口はインクが乾くのが遅いので、すぐにミリペンのコピックマルチライナー0.8に変更しました。
ペン入れ作業の順番は
枠線→フキダシ→描き文字→人物→背景→フラッシュ他効果線
です。
消しゴムの後にベタ塗りやスクリーントーンを貼りました。
消しゴムがけが大変
とにかく筆圧が強いので、ペン入れ後に消す「シャーペンで描いていた下描き線」が綺麗に消えませんでした。
消しゴムをかけても紙が線に沿って凹んでしまっています。
HBからBにしようと2Bにしようと
芯の太さも0.5から0.7に変えても全く消えませんでした。
いろんな消しゴムを試しに使ってみました。少しお高めのシャーペンに変えても同じことでした。
どれだけ消しゴムで擦ろうと下描き(濃ゆい箇所)はビクともしません。
紙の凹みの中で下描きの線はテカっと光り、ドえらい存在感です。
このままペン入れに入るとなかなか汚い原稿になってしまいます。
そこで
それまでは基本に忠実に(無駄な抵抗と知りながらも)消しゴムがけを頑張っていた僕は
トレース台を使えばいいんじゃないか?と思い、ペン入れは下描きを描いた原稿用紙に直接ではなく、下描きの上に新たな原稿用紙を重ね、そこに下描きの線をトレース台の光で写してペンを入れていくことにしました。
こうすることで下描き消えない問題は解決しました。
その上消しゴムをかける作業自体を短縮すことができます。(消しゴムかけるの意外としんどいですからねー)
何作もこのトレース台ペン入れ方法で描きました。
投稿・持ち込み体験記に出てくる作品も、赤塚賞佳作も、デビュー読切も、ほぼ全てこの方法でペン入れしました。
完成
ベタ塗り→修正(トーンの下に修正液は良くないと聞いていたのでトーン下の修正はインクごと原稿をカッターで削ります。意外と知らない人が多いぽいです。)→トーン貼り→鉛筆やシャーペンでセリフを入れて完成です。
必要な箇所はトレーシングペーパーを貼ります。
いかがでしたでしょうか?
現在、ペン入れ以降はデジタルを導入しているので修正液やらスクリーントーンを貼るというのは文章を書きながら懐かしく感じました。
漫画家志望で一番頑張っていた時期がこの作業手順でした。
これらはあくまでも僕個人のやり方です。
しかも僕の中でもかなり前のやり方です。
一人一人に合った作業や道具があると思うので参考にはならないかもしれませんが、もし、今完全アナログで描いていて悩んでいる人がいれば参考にしてみてくださいませ。
特に筆圧が強くて悩んでいる人はトレース台を使用したペン入。原稿が汚れないのでおすすめです。
いろんな画材で自分に合う方法を探してみてくださいね!
色々画材を工夫して試してみるのも楽しいですよ!
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